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しゅごしゅぎの

実際のところ中学校の先生って毎日何してんの?

 3月まで中学校の先生をやっていました。

 皆さんも中学生だったことがあると思うので、先生が何をしていたかなんとなく想像はつくと思うのですが、まあ書いてみましょう。

 

意外と知らない基礎知識

・教員は分類上は「教育公務員」という扱い

・中学校の場合、勤務時間は8:15-16:45(休憩45分) と法律で定められている

・「教員の勤務体系は特殊」という理由で残業代の制度はなく、代わりに「教職調整額」というものが一律で給付される

・教職調整額は給料の4%

 

 実はちゃんと定時があります。最近では、長期休み時の学校への電話なんかは、この時間帯以外は留守電に繋がるようになっているところも多いですね。

教職調整額は私の場合9千円くらいでした。

 

 以下教員の一日の流れを書いてみます。とはいえ自治体や学校によっても千差万別(本当に信じられないくらいバラバラ)ですので、あくまでも一例くらいに捉えてください。

 

 

7:30

 学校の門が開く時間です。早い生徒はなぜか7時過ぎくらいには校門に到着しており、開門を待っています。大体の先生もこのくらいに出勤してきます。

 これもあまり知られていませんが校門の鍵は基本的に教頭先生が開けています。教頭先生は文字通り「教員の頭」であり、いわばチーフです。学校の事務的な作業をほとんど1人でまとめています。

 結果的に子どもと関わる機会は少なく、のくせにめちゃくちゃ忙しいという大変なポジションでもあります。

 

7:40

 部活の朝練が始まる時間です。最近では朝練の廃止や減少を決める学校も出てきましたが、勤務校では年間通してやってました。

 実際ずっと見てるのは難しいので、ある程度指示を出したら、リーダーポジションの生徒に任せてあとはちょこちょこ様子見に行くくらいです。

 この間に一日の準備、保護者からの欠席や遅刻の電話、上履きを忘れました、提出物を職員室に出しに来る、登校中に不審者がいたから警察に電話する、頑張って学校に来たはいいがやっぱり体調が悪い、朝練でケガしました、ケンカしました、みたいな色々なことが起こります。

 

8:15

 一応勤務開始時刻です。この時間までに出勤すればまあ大丈夫です。朝から45分ほど時間外が付いてしまいましたが、まあ仕方がない。

 おそらくどの学校でもこの時間に「朝の職員集会」というものが開かれ、校長・教頭・教務・各先生・事務員さんや養護の先生からの連絡、各学年からの報告、生徒指導(要は学校で起きたトラブルの共有)……等と続いていきます。学校の職員が一箇所に集まるというのはこの朝の5分ちょっとくらいの時間しかないので、結構重要です。

 具体的な例を上げるとキリがないですが、「本日水道点検があるので業者が入ります」、「〇〇くんは先日の試合で骨折したのでしばらくジャージ登校になります」、「〇〇さんと△△さんのSNS上のトラブルですが、昨日両者の親も交え学校で話し合って解決しました」、「本日身体測定となってますので1学年は何時何分に保健室前に~」、「昼休みに生徒会集めますんで連絡お願いします」等、様々な情報が飛び交いまくります。

 

 それが終わったら朝読書、朝の会と続いていき、メインである授業に入っていきます。

 

 

授業時間

 一番わかりやすいところですね。とはいえ、授業が連続していると10分の休み時間で片付けや移動や準備をしなくてはならずなかなか大変ではあります。

 授業がない時間(空きコマと呼ばれる、1日2コマくらい)は何をしているかというと、

・週1で用意されている各種会議(生徒指導や教育相談担当の人の会議、同じ教科を担当している先生同士の会議)

・プリント印刷、生徒の課題や感想チェック、理科室での実験準備など授業の支度

・生徒と交換している一言日記や、テスト前に書いてもらっている学習の計画表のチェック

 

 など、会議以外は大体帰りの会までに終わらさなくてはならないデイリーミッション的な業務をしています。50分があっという間に過ぎていきます。

 とはいえちょくちょくイレギュラーがあって席を立つときもあり、集中して作業できないときも多いです。早退する子がいるから保護者に連絡とか、持病の発作が出ちゃったから救急車呼ぶとか、高校から入学担当の人が来たから応対するとか。大前提として「生徒がいる時間は生徒最優先」になるのはあります。

 なにか講習を受けなくちゃいけないとか、担当校務の集まりがある場合なんかは出張として外に出ることもあります。

 

 

お昼

12:45

 給食も「給食指導」なので重要な仕事になります。このときも何があるかわからんので(急に吐いちゃったりとか)忙しくて食べられなかった、なんてこともありますが、落ち着いている学校であれば割と楽しい時間です。教員の給食費は毎月5000円ほどで、給料天引きになってます。昼飯がこれで済むのはありがたいですね。

 昼休みは法律上は休憩時間になるわけですが、実際は「午前中ケンカなど何かあった子たちに指導する」、「委員会を集めてなんかする」、「生徒の補習」、「午後の学校行事の準備」など結局ワチャワチャしています。ある意味では一番バタバタしてる時間かもしれない。

 生徒とのコミュニケーションは楽しいんですが、学校から出るのは実質できないので、平日に郵便局とか銀行とかに行きたくても全然行けないのは辛いところです。

 

 

放課後

16:30

 帰りの会が終わったら部活になります。季節によって最終下校時刻が変わる学校がほとんどだと思います。日照時間が長い4~9月は18時まででした。目を離すこともありますが、安全管理上の問題もあるので基本的にはずっと見てます。定時とは……って感じですが、授業減らすわけには行かないので難しい。

 生徒が下校し、教室やグラウンドを点検し、一息つくと大体18時半くらいです。ここからようやく仕事タイムに入ります。まずは子どもの家に電話をかけます。休んでしまった子や今日叱った子、トラブルがあった子、学校に来られていない子の家などに電話をかけて様子を聞いたり、学校での様子を教えたりします。もちろん毎日じゃないですが、大体1、2軒はかける用事があるので。場合によってはそのまま学校に来てもらったりこっちが伺ったりってこともあります。

 あとは大まかに学校全体に関わる仕事>学年の仕事>自分の仕事の順番で進めていきます。これも具体的に上げるとキリがないですが、「体育祭や合唱祭などの学校行事の準備」だったり「校外学習当日までのスケジュール会議、ワークシート制作」だったり「定期テスト作成、採点、成績つけ」だったり「研究授業用の指導案を延々と印刷して延々とホチキス止めする」だったり学級だより作ってたり自治体や国に出すアンケート回答してたりと本当に時期によって色々です。急に降ってくることもままある。

 自分の仕事はどうしても後回しになるので、教材研究や授業の反省なんかをやる時間はあまり取れていませんでした。

 

 そんなこんなで日にもよりますが20時だとまだ7割くらいの先生が残ってるかなあという感じです。帰ってる先生も家庭の都合で帰ってるだけで、基本的に家でも仕事してると思います。

 教育って「ここまでやったから終わり!」というラインがないので、自分が納得行くまで永遠にやってしまいがちですね。結局は自己満足なんですけども。もっと効率的にできる部分もあるとは思うんですが、やはり根っこは「人と人との関わり」になってくるので、一見非効率的な方法が一番伝わるときもあるし難しいですね。お役所仕事なのでデジタル化が進んでいないってのも多分にありますが。

 自分が効率悪いのと慣れてないのもあるんですが、22時とか23時でも仕事してることはしょっちゅうありました。とはいえ、生徒が下校したところから数えると4時間くらいしか動けてないわけで、普通の会社じゃまだ一日の業務の折返し地点くらいなんですよね。業務量が多いと言うよりは、授業や部活などの直接生徒と関わる部分にプラスして仕事がある感じなので、単純に時間が取りにくく感じます。

 冬は部活短いので使える時間も増え、気持ち的には結構楽になります。

 

 

休日

 休日は部活+せっかく学校来たし平日終わらなかった分をやるという具合です。土日両方の部活はやめよう!という風潮になってきてますが、結局どこもやってますね。勝つためにはそりゃいっぱい練習しなきゃいけないので、なかなか一気には減らせないです。好きでやってる先生も多いからね。

 色々なところで動きはありますが、全国的に変わるのにはあと10~20年は必要なんじゃないでしょうか。大会前だと土曜日に1日練習→日曜日に練習試合、が毎週みたいなことになりがちで、見てて面白いとは言えどさすがにきついです。

 ちなみに、部活動は3時間以上やると3000円の手当が出てました。10時間やっても3000円だが、これでも昔よりはだいぶ上がっている。交通費や食費は出ないのでマイナスに近いような日もありますが……。

 ちなみにちなみに土日の部活はなぜか勤務時間のカウントには含まれないので、勤怠管理システムには入力しません。これはちょっとよくわからない。

 

 

夏休み

 授業はないですが、普通に出勤日ではあるので出勤します。長期休みは長期休みでそこでしかできない作業がいっぱいあるのでなんだかんだやることはあります。生徒の保健関係の書類をチェックして印鑑を押したり、学校や教室環境の修繕をしたりですね。

 あとはやっぱり部活です。大会で勝ち上がっている強い部の先生だったり、夏の大会時期の遅い吹奏楽部の先生なんかは結局ずっと働いてましたね。

 ちなみに冬休みは受験関係の業務が真っ盛りなので、3年生担当だと全く休めません。春休みに至っては年度更新に伴う人事異動、クラス替え、新入生迎え入れなど一年で一番忙しい時期です。

 それでも夏休みなら平常時よりは暇になるので、日によっては午前の部活終わったら半休取って帰ったりします。お盆や年末年始の時期は部活もなく、学校への電話もつながらず、完全に休みです。そうなったのも割と最近の話のようですけども。

 

 

おわり

 本当に日によってやってることが違うので、伝えられたかはわかりませんが大まかにはこんな感じです。愚痴っぽくなってしまった箇所もありますが、やりがいもあり楽しく決して飽きないいい仕事でした。ただやっぱり長すぎる!

 こう、天性の教員とでも言いましょうか、本当に子どものために動くのが楽しくてしょうがない、仕事しながら回復してるような人が確かにいて、現状そういう人じゃないと苦しく感じる場面はあるんじゃないかなあとは思います。

 働き方改革の波が教育現場にも来てますが、現状は殆ど変わってないです。というか仮に生徒と同時刻に来て同時刻に帰っても2時間時間外付いちゃうんですよね。でもこれで月の時間外を45時間以内にしないといけないらしい。無理すぎる。

 文部科学省「何をどうしたらいいかわからない」くらいのことを言っているだけあり、教員の働き方を変えるというのは並大抵のことではないことがわかりますね。

 とはいえ「じゃあ部活全部なくしましょう!」とはいかないわけですね、そんなのいきなりやったら子ども泣くし。実際部活の教育的価値は高いと思います。

 (最近は部活指導員という形で外部の人間が指導に来て教員の負担を減らす、というのが行われているところもありますが、部活というのは例えば野球部なら野球をうまくなるためにやっているのではなく、野球を上達しようという行為を通して、上下関係や礼儀の大切さを学んだり、心身の発達を図ったり、子どもをいい方向に伸ばしていくのが重要なのであり、それができるのがやっぱり「先生」なのであって、一概に全部外に頼んでしまえば解決するものではないと思っています)

 

 話が散らかってしまいましたが、現状の働き方はやはり不健全であるのは間違いないと思うので、時間がかかってもいいから、子どもにも家庭にも教員にも良い形で少しずつ変わっていけるといいのかなと思います。何の話だったんだ?